タカの雑記ブログ

「退廃的な生活から抜け出したい系引きこもり」が読書にいそしんでいます。

ゴールデンスランバー/伊坂幸太郎

伊坂幸太郎さんの「ゴールデンスランバー」について紹介していきます。

あらすじ

首相公選制が存在する現代。仙台市では金田首相の凱旋パレードが盛大に行われていた。

宅配業の青柳雅春は数年前に暴漢に襲われていたアイドル・凛香を仕事中偶然にも助けたことで一躍時の人となり、地元では顔を知らない人がいない有名人。

そんな青柳は数年ぶりに大学時代の親友・森田森吾に呼び出される。森田の様子がおかしいことを訝しむ青柳に、森田は「お前、オズワルドにされるぞ」と告げる。

なんのことか分からない青柳だったが、その直後に首相は暗殺され、警官が2人のところにやってくる。「お前は逃げろ」と促された青柳はその場を逃げ出し車を後にするが、森田は自動車ごと爆殺されてしまう。

その頃、街中では早くも青柳の顔写真や映像がくり返し流され、首相暗殺犯として大々的に報道されていた。青柳は、警察やマスコミを意のままに操作出来る人間が、自分を犯人に仕立て上げようとしていることを思い知らされる。

青柳は様々な人々の力を借りて、逃走につぐ逃走を重ねて、逃げ延びる。

 

引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/ゴールデンスランバー

 

”「人間の最大の武器ってなんだか知ってるか?」「習慣と信頼だ」”

これは数年ぶりに再会した森田が青柳に言った言葉。人間の生活は「習慣と信頼」で成り立っているということを教えてくれるひとこと。

 

「社会は習慣と信頼で成り立っていると考えられる。」

その証拠に「明日からは会社に来なくていいよ」といわれると呆然として明日から何をすればいいのかわからなくなると思う。それは、今まで繰り返してきた「朝起きて会社に出勤する」という一日の大半の時間を占めた「習慣」を失うから。

 

逆に、職場を得て、仕事を与えられ、仕事をこなしていく、というシステムは「君ならちゃんとこなしてくれるだろう」という周りの「信頼」によって成り立っている。だから信頼を失えば、頼られることもなく、最悪仕事を失うことになる。このことからも、信頼は社会のシステムに参加するための絶対条件になっていると思う。

 

システムの内部に組み込まれて生きていると「習慣と信頼」という大きな軸になかなか気づくことができない。逆にそこから一歩引いてみると案外簡単に気が付くのかもしれない。

 

森田は苦しい生活の中で「習慣や信頼」というものを失って、社会のシステムから弾かれて初めて自分や周りの人間がこの2つに守られていたことに気づいたのかもしれないですね。

 

ゴールデンスランバー」を読み、森田のこの言葉で人間の強みとは「習慣と信頼」だ。そういう考え方に気づけた私たちはラッキーですね?笑

 

 

”なあ、森田、人間は、車にエンジンがかかったくらいで泣くのかよ。”

動くはずもない古く放置されていた車のエンジンがかかった時、青柳が言った言葉。

彼はもしかしたら、「自分はまだすべての人に見放されたわけじゃない」ということに気が付いたかもしれませんね。そうだったらうれしい笑

 

唐突に今までの環境や習慣を失い、当たり前だと思っていたことすべて失ったと思ったとき、たった一度だけ「車のエンジンがかかる」というあたりまえの体験は青柳の心を勇気づけたはず。

 

自分のことを信頼してくれている人がいるということや、いつも通りの生活が普段どれだけ私たちの心を支えているかに気が付かされる。退屈でつまんない、刺激のない生活をあたりまえに送れることにちょっと感謝です。

 

私たちは、「あたりまえ」のことをあたりまえにできるこの退屈な生活に感謝しつつ、刺激的な生活を展開させていきたいですね。大切なのは「あたりまえ」に感謝すること、それに生活を豊かにする努力をすること。

 

 

おい森田、むしろ、人間の最大の武器は、笑えることではないか?”

青柳が逃亡をあきらめ、それでも一矢報いたいという覚悟をし、テレビ局の矢島さんに電話を掛けた時の言葉。矢島さんが電話を取って「やじやじやじやじ矢島です!」といったときのことですね笑

 

絶望的な状況に陥った時、目の前は真っ暗になるという経験ありませんか?

 

そんなときに「おかしくって笑える」なんてことは普通ならそう簡単にできないでしょう。でも、もし真っ暗闇の中でも「笑えること」を見つけられたなら、「笑う」ことを忘れなければ何とかなると思えるんじゃないか、と思わせてくれるひとことですね。

 

どんなに大変な目にあっても、「笑うこと」を忘れてはいけない。

笑うことを忘れなければ、大変な状況が変わることはなくても、「どうにかしよう」と思うことはできるようになるかもしれない。上を向くことができます。

 

それに私なら、どんなに大変な状況に陥っても「いつも通り笑っている人」のそばにいたいです(笑)どれだけ大変で笑う余裕なんてなくても隣でのんきに笑っている人がいれば気分も上を向くってもんです笑

 

おわりに

この本は、いろいろな場面が時間や場所を超えてつながっていったのが楽しかったです。特に、社会人になって学生時代の友人とは疎遠になっていたのに、この事件がきっかけで学生時代の思い出や会話が各々によみがえり、現在でつながっていく感じが爽快で感動的でしたね。

 

ばらばらな場面がつながり始めると、まったく先が読めなかったシーンの一つ一つの意味に気がつき、早く先を知りたい!という気持ちが強まっていきました。睡眠時間を削ってでも読みたくなってしまうと思うので、のんびりした休日に読むのがおすすめです(笑)

 

ゴールデンスランバー (新潮文庫)

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